環境に優しい(人に優しくはない)


Lobotomy Corporationは、「アブノーマリティ―」と呼ばれる未知の存在を収容し、管理し、エネルギーを生産するゲームです。
もしSCPをご存じだったら、そっちを思い浮かべるのが手っ取り速いかもしれません。
「従来の手法や現代科学では説明不能な異常存在」で「桁外れのエンケファリン(エネルギー源)を放出」するもののようです。
しかし、このゲームでアブノーマリティ―を管理する会社はまごうことなき営利団体です。エネルギーを生産することが目的であって、アブノーマリティ―を安全に収容することや、職員の生命を守ることが目的ではありません。
しまいにはショゴスで発電しようとか言い出すんじゃないだろうか。
なんてこった。

おっそろしいことに、選択したアブノーマリティ―の性質は全く持って未知の状態から始まるので、知るまで(≒ひどいことになるまで)危険度が分かりません。
カートゥン調の絵で、それほどきっついわけではないのですが、割と死にパターンは多いので、苦手な方はご注意ください。
たとえ、ミスが一つたりとてなかったとしても、その辺をほっつき歩いている一般の職員は湯水のようにだばだばと死んでゆきます。

唯一の救いは、この会社がこれでずいぶん儲けているのか、給料が高く、入社を希望する者が絶えないというところですかね。
たぶん、死亡時の補償金なども手厚いことでしょう。

アブノーマリティ―にはさまざまな危険度ランクがあって、危険なものもいるし、そうでないものもいます。
ただし危険度ランクが低いからと言って危険ではないかというと全く違います。
扱いが分かればやけどしないだけです。
あとは、なにかやらかしても一人のやけどで済むか、施設が大爆発して粉みじんになるかの違いです。

事前に知っていなければ、危険を回避するのは不可能です。
訳の分からないままに収容室に押し込めたアブノーマリティ―が、悪い方向にシナジーを重ね、気が付けばピタゴラしい破滅が口を開けて待っていることでしょう。
脱走に次ぐ脱走、パニックに陥った職員が銃弾を仲間にばらまき、伝染し、別のアブノーマリティ―の脱走を感知したアブノーマリティ―が檻の外へ……。
たった一回の失敗が、恐るべき大惨事をもたらします。
ああ、なんて恐ろしいんだ、アブノーマリティ―!

ところが、ところがですよ。
人間というのはずいぶん欲深く、また執念深いものです。何人もの職員を犠牲にし、やり直し、データを集めているうちに、いつのまにか、アブノーマリティ―を「利用」できるようになる瞬間が訪れます。
アブノーマリティ―に行動を起こすと得られる情報には、対戦型カードゲームのデッキ効果のように、はっきりとした「ルール」が提示されています。
対戦が始まってからでないとルールが読めないあたりがカードゲームと違うところではありますが。
いや、ほら、やり直しができるから……。
安全にアブノーマリティ―を制御し、エネルギーを生み出し、メリットだけを享受する……。どういう管理方法が適切かさえ知っていれば、レベルの低いほとんどのアブノーマリティーは脅威ではありません。
無論、この「制御」が錯覚であることは一度や二度ではないのですが、それが最高に楽しいのは、やっぱり人間の業なんでしょうか。

始めた当初はあっちへ行ったり、こっちへ行ったり、非常に繊細な制御が求められる難しいアクションパズルに思えましたが、実のところ、(現行のバージョンでは)指示を出さない限りは物事が進行しない場面が多いため、リアルタイムに作業する難しさはほとんどありません。
追記の補足:ゲームが進んできたら、滅茶苦茶忙しい操作を求められることになりました。
調子こいてました。
すみません。楽しいのですが、クエストが進みません。

一時停止機能もあって、停止中はゆっくりと作業を指示することができます。試練の鎮圧作業中はあっちこっち指示を出してHPを管理しなければならない場面もありますが、その気になればティーカップ片手に優雅に管理人の作業をすることができるでしょう。

また、アブノーマリティ―の情報やアブノーマリティーから生産した武器、ポイント、各セフィラからもらったミッションをこなして得られた特殊効果などはそのままなので、難しいやりくりをしなくても、泥臭く試行を重ねれば、前へ前へと進めるゲームでもあります。
そして、何よりも貴重なものが情報です。「チェックポイントに戻る」「初めの日に戻る」というコマンドを選択すると、情報や生産したポイントを持って帰れます。さらに、一度ひどい目に遭ったら二度と忘れられないことでしょう。
どういうアブノーマリティ―を管理することになるかは、ランダムで選ばれた3択から、任意に一つ選ぶことができるのですが、ひっどい奴はそもそも「選ばない」、という選択ができます。
(※序盤はレベルの低いアブノーマリティーが出やすい、などの調整はあるようです)

アーリーアクセスが正式リリース版となったようで、次のセールで買おうと決めていたゲームでした。
前々から「音楽が良い」というのは聞いていたのですが、加えて登場するセフィラ(部門ごとのサポートAIみたいなものだと思う、たぶん)のみなさんがかわいい。
なんていうか、皆……すごい闇を抱えていて……。そりゃあ職員が死なない日はない、って感じのゲームなので……とにかくいろいろ問題があったりして……でも、すごく、人間らしいんですよ。
非常に楽しんでプレイしています。


2018.5.23