インベントリを共にする


まずこの2064: Read Only Memoriesが最高のサイバーパンクADVだということは言うまでもありません。
この謳い文句か、あるいはスーパーファミコンを思い起こさせるようなレトロで鮮やかな画面に心惹かれた人は、すでにSteamアカウントにログインして購入しているか、あるいはPS4でソフトをダウンロードし終えたことでしょう。
よかったよかった。お疲れ様でした。
それでもまだ、もしかするといるかもしれない購入するか迷っている皆さんのために、ささやかながら、私がこのゲームの良さのひとつについてご紹介しましょう。

このゲーム、アドベンチャーゲームですが、無意味に調べられるところが多いのです。
もちろんこれはストレスフルな体験を皮肉った言葉ではありません。遊び心が行き届いている、という意味です。
ADVとしての導線はシンプルかつ親切で、調べられるものは明るく光っている。難易度は、真摯に遊んでいればたぶん、ミニゲームに失敗しなければ初回でベストエンドが見られるくらいでしょうか?
とりあえず私は、オープニングからエンディングまで、攻略に詰まったところはありませんでした。何度かマウスの操作が効かなくなってロードはしたんだけれど……。

このアドベンチャーゲームは、だいたいの調査シーンで、オブジェクトに「見る」「アイテムを使う」「触る」「話しかける」と言ったコマンドを使ってお話を進めていきます。
全てではありませんが、かなり多くの、だいたいのものに対してこのコマンドが使えます。体感的には8割がたじゃないでしょうか。
つまり何が言いたいかというと、その辺に立ってる警察官から、ロボットまで、さらには観葉植物にまで話しかけることができます。
きちんとお話が進む選択肢以外にも、マグカップやゴミに「話しかけ」たり、冷蔵庫にIDカードを突っ込んで冷やしたり……。もちろんこれらの行動で、事態が進展することは(ほとんど)ありません。
主人公はおおむね常識的で、だいたいの奇行は「いや、やめておこう」「警察を呼ばれる」と思いなおします。
ただし、このテキスト、汎用台詞ではありません。それぞれのオブジェクトにそれぞれの反応があります。しかも、2回やろうとすると2回違ったりする。ときにはジョークを交えながら、軽快にコメントをしてくれます。


例)路上に駐車してある車に「腐った牛乳」を使用しようとした場合のセリフ。明らかに、「路上に駐車してある車に腐った牛乳を使用した場合」のセリフ。

ちなみに「腐った牛乳」というのは、私のお気に入りのアイテムのひとつです。主人公の自宅の冷蔵庫にあったもので、私の知る限りではゲーム内で実用的な使い道はありません(実績は豊富である)。

なぜ主人公は腐った牛乳をインベントリに入れようと思ったのか?
それは「プレイヤーが選んだから」という理由に他ならないのでしょうね。
かなり序盤から手に入るアイテムなので、苦楽を共にしてきただけあって、いつのまにか愛着が湧いたり……はしないか?

アイテムに対する人物の反応もかなり豊富で、そのことについて突っ込んだり、突っ込まれたり、シチュエーションに応じて様々な表情を見せてくれます。


例)フェアライト博士の目の前で「腐った牛乳」を外に捨てようとした場合のセリフ。これは「牛乳」を「窓」に使った場合のセリフで、フェアライト博士に腐った牛乳を使った場合はまた別の反応を見せる。
なお、フェアライト博士の近くの機械にも「腐った牛乳」を試みることができる。

全てのものにすべてのアイテムが使えるわけじゃないし、アイテムの数自体、ものすごいあるってわけでもないんですけれどもね。
それにしてもなかなかの数ですよ。

いいですか、寄り道が楽しいゲームは名作です。
ちまちましたテキストを拾うのが大好きな人間にとっては、これだけをとってみても、非常に満足の行くゲームといえるでしょう。バーで頼めるカクテルの種類がやたら豊富だったり、そういったとこからも作りこみや細かなこだわりが見えます。

真面目な捜査中に、他人の家に意味なくピンポンダッシュだってできる。いや別に、私はピンポンダッシュがしたいわけではないのだ。意味なく、ピンポンダッシュを行うという選択肢があるゲームが好きなんだ。

とりあえず、ユーモアが合うゲームはとりあえず間違いありません。
そういった点でも、そうじゃない点でも、2064: Read Only Memories は名作と呼べると思います。なんといっても、チューリングがかわいいしね。


2018.11.26