「雨水のあはれ」の副読本が好きという話

私がいつもお世話になっているほーむorあうぇいのあきらさんといえば、「レディとメイドのスイートルーム」などのポップで明るいコメディ作品を作られる一方、「ソラドウト」などの静謐な空気の漂うゲームも作っていらっしゃる方です。
片方のゲームをプレイしてからもう片方のゲームをプレイすると温度差にびっくりするかもしれません。乙女ゲ製作サークルのpineteaさんではよくダークなゲームも手掛けていらっしゃいますが……普段お話してると、ポップでシャキシャキ~っとした印象なんですが、真面目な文体をみるとちょっとときめきます。ユーモア~って感じ!

私はあきらさんの、目的をしっかり見据えてダーツのようにしゅうっとターゲットを射貫く洗練された投擲が好きです。あきらさんは創作活動において、いつも自分がどこにいて、どんなことをしたいのか、客観的に把握してらして、そしてどちらに進むか決めて、いつの間にかコツコツやりとげている……そんな人だと思っています。
私もあきらさんのあとを追いかけゲームを作ったりするようになりましたが、いったいどうやって作ってらっしゃるんだろうといつも不思議に思っています。

出来れば作り方を知って真似たい。そう、真似をしたいのです。勿論それは丸まんまパクってくるという意味ではなく……。自分のものにしたい。アレンジしたい。この薄くて透明な刃の上手な振り方を知りたいとかそんな気持ちです。おいしく・ケーキを・切り分けたい……。

私はあんまり物を作っててもキャラが勝手に動くタイプの人間ではないので、どういうものがどういう仕組みで、どういう意図で、どうやって作られているか知るのが好きです。
そういうやり方があると知ることは希望でもあります。あきらさんの公開されているもののなかで、手法についてたくさん書いてあるのがこの『雨水のあはれ』の副読本でした。この本の中には直接どうやったらこういうゲームが作れるか、といったようなものではありませんが、何が含まれているか、どういう意図で作ったか、そういうことが書いてあります。
私は、あきらさんの明かされたレシピの中で、これが一番好きだなあと思います。読み返しているとひしひしと創作意欲が湧いてくるのです。ゲーム本体が素晴らしいのも言うまでもありませんが、雨水のあはれを気に入った方はぜひ目を通してほしいなあというものです。

これは最初に話しておくが、『雨水のあはれ』という作品に対してこの二人の人物が「直接的に」影響を与えたことはほとんど無い。ただ、私の創作活動と切り離せないだけなのである。その結果名前を拝借した。定期的に発生する発作のようなものである。
(『雨水のあはれ』副読本)

2019/8/19
※再掲にあたってちょっぴり加筆修正 2022/6/15